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人工呼吸について

従来の心肺蘇生法は、「気道の確保」→「人工呼吸」→「胸骨圧迫」→「AED」という流れで行われていました。しかし、最近の研究で、人工呼吸を行った場合と行わなかった場合を比較すると、どちらでも救命率に差がないことがわかってきました。また、救助者のなかには、口対口の人工呼吸を行うことにためらう人たちも少なくありません。そこで、人工呼吸は一般市民の心肺蘇生法では必須のものではなくなりました。

すなわち、①心肺蘇生法を知らない人は、人工呼吸を省略して胸骨圧迫のみでよい、②心肺蘇生法を知っている人は胸骨圧迫のみでも、従来どおりの人工呼吸と胸骨圧迫を組み合わせた方法でもよい、③心肺蘇生法の講習を受けたが自信がない場合は胸骨圧迫のみでよい、とされています。

ただし、心肺停止している小児や、溺水・外傷・窒息・呼吸器疾患・中毒などで無呼吸状態の人に対しては、人工呼吸と胸骨圧迫を組み合わせた方法を行うことがすすめられています。

人工呼吸の方法

人工呼吸の方法にはいろいろありますが、一般には図9の「口対口(または口鼻)人工呼吸法」が行われています。人工呼吸は、「③正常な呼吸の有無を確認」のあと、すなわち気道を確保しても「正常な呼吸(普段どおりの息)をしていない」場合に行います。

図9 口対口人工呼吸法

救助者が1人の場合は、人工呼吸を2回行い、続けて胸骨圧迫を1分間に100回の速さで30回(30回は目標、回数の>正確さにこだわらなくてよい)と人工呼吸を2回、この「30回+2回」を、傷病者が動き出したり、正常な呼吸が出現するまで、AEDまたは救急車が到着するまで行います。AEDの到着以降は「⑤AED到着」の手順に従ってください。

救助者が2人以上いる場合は、2分間を目安に交代して絶え間なく続けます。

なお、口対口人工呼吸による感染がおこる可能性は非常に低いのですが、結核、肝炎などの感染の報告例があります。したがって、実際に行う際にはフェイスシールドなどの感染防護具を使うのが望ましいとされています


執筆者(敬称略):上野 幸廣

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出典:六訂版 家庭医学大全科

発行:株式会社法研

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