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ストレスと胃疾患

 ストレスがかかると全身にさまざまな程度の障害を及ぼしますが、胃はとくにストレスの影響を受けやすい臓器として有名です。雑誌に「ストレスと病気」という特集があると、必ず胃・十二指腸潰瘍かいようがその代表的疾患であると記載されていました。ストレスがかかると胃の平滑筋は緊張して収縮し、そのため胃の血液循環の障害を生じ、潰瘍が形成されやすくなると説明されていたのです。

 確かに、ラットなどの動物にストレス負荷をかけると、数時間で胃炎が形成され胃粘膜出血が生じます。ところが不思議なことにどんな強いストレスを加えても胃炎は形成されますが、深掘れの潰瘍は生じなかったのです。そのため、潰瘍形成にはストレスだけでは足りず、プラスアルファが必要であると考えられてきました。

 その重要な要因のひとつがピロリ菌感染であったのです。ピロリ菌が胃の粘膜に感染すると、胃粘膜はもろくなり、ストレスが加わったり、胃酸が過剰に分泌されると潰瘍が形成されやすくなるのです。

 阪神・淡路大震災の際、胃潰瘍の発生が増加したとの新聞報道がありましたが、兵庫医大の調査では、ピロリ菌の除菌を行っていた人からは1例の発生もありませんでした。また、自衛隊のレンジャー訓練は、あまりの厳しさに多くの隊員から胃・十二指腸潰瘍が発生するので有名だったのですが、最近の調査でピロリ菌陰性者からは胃炎しか発生しないことが明らかになってきました。

 ストレスが胃に悪いことは事実ですが、ストレスを解除することより、ピロリ菌を除菌することのほうが容易なので、胃・十二指腸潰瘍の再発予防には、世界的にピロリ菌の除菌が優先的に行われるようになってきています。


執筆者(敬称略):浅香正博

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出典:六訂版 家庭医学大全科

発行:株式会社法研

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