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ストレスとこころの病気

 私たちは、日常生活のなかで、認知、判断、行動を繰り返しています。これを支えているのがこころのはたらき(精神活動)です。こころのはたらきは、脳が担っていますが、心身の疲れがたまった状態、いわゆるストレスのたまった状態が続くと、こころの病気も起こりやすくなります。また、こころの病気になると、そのはたらきも、うまくいかなくなります。このように、ストレスとこころの病気は強く結びついています。

 今日では、こころの病気は、がん、循環器疾患と並んで、3大疾患のひとつとなっています。厚生労働省の平成20年患者調査によると、こころの病気による受療者数は320万人を超えました。自殺による死亡者数は平成10年に急増して、3万人を超える水準が続いていますが、その多くは、背景にこころの病気があると考えられています。また、人事院の調査によると、国家公務員の長期病欠者のうち、こころの病気によるものが増加して、全体の約3分の2を占めていると報告されています。このように、こころの病気は私たちにとって極めて身近な問題になっています。

 しかし、同じくらいのストレスを受けても、こころの病気になる人もいれば、ならない人もいます。なぜでしょうか。それは、私たち一人ひとりのストレスをはねかえす力の大きさや、はねかえし方が異なるからです。幼少時のトラウマなどの影響で、ストレスにうまく対処できなかったり、こころの病気になりやすい人がいます。ストレスをはねかえす力の強い人もいれば、そうでない人もいるのです。

 自殺を例にとるならば、自殺行動は、絶望感にとらわれやすくて、衝動性・攻撃性の高まりやすい傾向のある人に、こころの病気や人生の危機が重なると起こりやすくなります。警察庁の統計によると、自殺の原因はこころの病気を含む「健康問題」が最も多く、「経済・生活問題」「家庭問題」「勤務問題」などがあげられますが、自殺の事例を検討してみると、これらの要因が重なるなかで自殺が発生していることがわかります。自殺の原因・動機はさまざまですが、自殺は、私たちの社会の有り様を示す鏡かもしれません。

 平成18年に議員立法として成立した自殺対策基本法は、自殺予防のための総合的な対策に、社会全体で取り組むことを求めています。そして基本理念として、

(1)社会的な取組として実施する

(2)自殺の実態に即して実施する

(3)事前予防、危機対応、不幸にして自殺が起こったときの遺族などのケアの各段階に応じて実施する

(4)さまざまな機関や団体の密接な連携のもとで実施する

ことをあげています。

 これらの理念は、WHO(世界保健機関)が「自殺は大きな、しかしその多くが防ぐことができる社会的な問題である」と明言したことを踏まえたものです。


執筆者(敬称略):竹島正

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出典:六訂版 家庭医学大全科

発行:株式会社法研

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