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急性ウイルス肝炎(A型、E型を除く)

急性きゅうせいウイルス肝炎かんえんA型エーがたE型イーがたのぞく)

Acute viral hepatitis (excluding Type A and E)
  • 概要
  • 診断、治療
  • 原因、予防

 急性ウイルス肝炎のうち、B型・C型・D型肝炎は血液を介して感染する病気です。日本ではD型肝炎はほとんどみられません。

 感染のしかたには、初感染後の一過性感染と、ウイルスをもち続ける持続感染とがあります。

 一過性感染の場合は、急性肝炎を発症します。持続感染の場合は、ウイルスキャリアといいます。症状がなく肝障害もない場合を無症候性キャリアといい、肝障害が出ると慢性肝炎、肝硬変かんこうへん肝がんになります。

 本項では、初感染後の急性肝炎について述べます。急性ウイルス性肝炎は、感染症法では4類感染症に分類され、発症7日以内に所轄保健所長に性、年齢を届け出ることになっています。


B型急性肝炎ビーがたきゅうせいかんえん

どんな感染症か

 B型肝炎ウイルス(HBV)の初感染による感染症です。HBVの構造は、表面をHBs抗原がおおい、内部にHBc抗原があり、そのなかにDNA遺伝子が入っています。

 感染源はHBVを含む血液や体液です。感染経路としては、輸血、母児間感染、血液がついた注射針による誤刺入、性行為などがあります。輸血による感染は、献血血液のHBVのスクリーニング(ふるい分け)検査により、母児間感染はHBs抗体含有ガンマグロブリンとHBワクチンにより感染を防ぐことができます。近年、性感染症としてのB型急性肝炎が多くなっています。

症状の現れ方

 潜伏期間は短くて4週、長くて6カ月、平均1~2カ月です。

 初期には黄疸おうだん、全身倦怠感けんたいかん、食欲低下、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。そのほかに、顔面や手の皮膚に発疹が出たり、関節痛、筋肉痛、神経痛を合併することがあります。通常は1~2カ月で症状がなくなり、ウイルスも消失します。

 注意を要するのは、急激に病状が悪化して劇症肝炎げきしょうかんえんになることで、これは死亡率が高く予後不良の病気です。多くは突然変異したHBVの感染で発症し、強い黄疸、出血症状、意識障害が特徴です。

検査と診断

 B型急性肝炎は、HBs抗原とIgM型HBc抗体陽性で診断されます。

 通常は、肝臓から出る酵素のAST(GOT)、ALT(GPT)の血中レベルが1000単位以上(基準値は35単位以下)に上昇し、総ビリルビン(基準値は1mgdl以下)の上昇がありますが、経過とともに正常化します。

 劇症肝炎ではAST、ALTは数千以上に上昇し、短期間に降下します。総ビリルビンは上昇の一途をたどり、プロトロンビン時間、トロンボテストなどの血液凝固時間が延長します。

治療の方法

 通常の急性肝炎では特別な治療はしないで、安静と補液で十分です。HBs抗原とHBV DNAが長く残る場合は、核酸類似薬の投与をします。

 劇症肝炎の場合は血漿けっしょう交換療法が行われますが、効果のない場合は肝移植が行われます。

病気に気づいたらどうする

 重症化する危険があるので、入院治療が原則です。発症初期の血液は感染性があるため、血液の取り扱いには注意が必要です。

関連項目

 劇症肝炎B型慢性肝炎肝硬変肝細胞がん

C型肝炎シーがたかんえん

どんな感染症か

 C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により発症します。HCVの構造は、表面に膜蛋白が、内部にコア蛋白があり、そのなかにRNA遺伝子が入っています。

 感染源は血液、血液製剤、血液が混じった体液で、感染経路は輸血、覚醒剤かくせいざい静脈注射の回し打ち、入れ墨、医療従事者の針刺し事故などです。

 ほかの急性ウイルス肝炎と違い、症状は比較的軽いのですが、高い率で慢性化し、後年、慢性肝炎、肝硬変かんこうへん肝がんになります。

 輸血によるC型急性肝炎はスクリーニング(ふるい分け)検査ができるようになり、激減しています。ワクチン、ガンマグロブリンによる予防法はまだありません。

症状の現れ方

 潜伏期は2週~6カ月、平均40日くらいです。黄疸おうだんが現れるのは20~30%で、全身倦怠感けんたいかん、食欲不振、吐き気などの症状が50%ほどに現れます。

 無症状の場合が50%ほどあり、C型肝炎になっているのに気づかないことがあります。劇症肝炎げきしょうかんえんはまれです。

検査と診断

 HCV抗体は、発症後1カ月ころから検出されます。HCV RNAは、AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇に先行して検出されます。

 AST、ALTは上昇しますが、A型やB型肝炎ほど高くなく、最高値が1000単位以下のこともしばしばです。

治療の方法

 自然治癒は約20%で、多くは慢性化します。慢性化の兆しがみられたら、早めに抗ウイルス療法を行います。抗ウイルス薬としてはインターフェロン、リバビリンが使用されます。90%以上の割合で治ります。

病気に気づいたらどうする

 重症化する危険はありませんが、自覚症状が強く、黄疸が出現した場合は、入院治療が原則です。慢性化を見極めて治療をします。発症初期の血液は感染性があるので、血液の取り扱いには注意が必要です。

関連項目

 劇症肝炎C型慢性肝炎肝硬変肝細胞がん

D型肝炎ディーがたかんえん

どんな感染症か

 D型肝炎ウイルス(HDV)の感染によって発症します。HDVの構造は、表面がHBs抗原でおおわれ、中心部にデルタ抗原があり、そのなかにRNA遺伝子をもっています。このことからもわかるように、B型肝炎ウイルス(HBV)と仲のよいウイルスです。

 感染源は、B型肝炎患者あるいはキャリア(持続感染者)の血液で、このなかにHDVがひそんでいます。

 HDVの感染のしかたには2種類あります。健康な人に、初めてHBVと同時に感染する場合と、もともとB型肝炎になっている人に重複感染する場合です。D型肝炎は重症化することがあるので注意が必要です。

 日本ではD型肝炎はまれですが、外国では覚醒剤かくせいざいを静脈に打つ常用者に多いといわれています。今後国際化が進むと、日本にも感染拡大がみられることが心配されています。

治療の方法

 感染予防は、B型肝炎の予防と同じです。HBs抗体含有ガンマグロブリンやHBワクチンが有用です。

病気に気づいたらどうする

 D型肝炎は、B型肝炎にしては状況が違うという時に初めて気がつくことが多く、疑って検査をしないと診断ができません。専門医への受診をすすめます。


執筆者(敬称略):清澤 研道

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  • 概要
  • 診断、治療
  • 原因、予防

出典:六訂版 家庭医学大全科

発行:株式会社法研

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