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急性虫垂炎きゅうせいちゅうすいえん

Acute appendicitis

どんな病気か

 一般には「盲腸もうちょう」といわれますが、医学的には急性虫垂炎が正式な病名です。大腸の盲腸という部位の下端に突出した虫垂突起の炎症で、これが「盲腸」といわれるゆえんです。



原因は何か・頻度

 発症原因にはさまざまな説がありますが不明です。小児で腹痛の原因になる外科的疾患では急性虫垂炎の頻度が最も高く、とくに6歳以下の乳幼児では診断の遅れから容易に重症になります(50~60%が穿孔性せんこうせい虫垂炎)。

 その原因は、乳幼児では虫垂突起の壁が薄く、いったん炎症が起きると防御機構が未発達であることから、炎症の進行が早く、容易に虫垂壁に穿孔(あながあく)が起こり、腹膜炎ふくまくえんとなるからです。また乳幼児は腹痛の症状、部位を的確に表現できないことも診断を難しくし、病状を進行させてしまいます。

 一方、6歳以上の腹痛は十分に患児自身が症状を表現できるので、診断は容易です。

 病理医学的に急性虫垂炎は3段階に区分できます。

(1)カタル性虫垂炎(抗生剤の投与で治療可能)

(2)蜂窩織炎ほうかしきえんせい虫垂炎(うみが虫垂突起のなかに充満、穿孔はない、手術が不可欠)

(3)壊疽性えそせい虫垂炎(虫垂組織が壊死、穿孔を認め、腹膜炎膿瘍のうようを伴い、手術が不可欠)

 診断が遅れても、(2)の段階で手術をすることが術後の経過において重要です。


症状の現れ方

 腹痛、嘔吐、発熱が3大症状です。多くの場合、はじめに上腹部痛が現れます。痛みは時間とともに右下腹部痛となり、この経過中に嘔吐がみられます。はじめのうちは発熱はありませんが、経時的に37・5℃前後の微熱~軽度発熱が現れます。炎症性疾患なので必ず発熱を伴います。

 炎症が進行すると、右下腹部痛は万力で絞めつけられるような腹痛へと変化します。消化器疾患なので、食欲が低下します。嘔吐は、虫垂炎の進行で腹膜が刺激されて現れます。


検査と診断

 発症から約12時間を経過すると、血液検査で白血球数が増え、炎症反応(CRP)が陽性となります。診断には腹部触診(医師が手で腹部を圧迫する検査)、直腸診(肛門から指を挿入して炎症の進行程度を診断する)が最も重要で、この検査で緊急手術をすべきかどうかの診断が決まります。乳幼児では小児外科専門医による診断が必要です。

 この触診時に、6歳以下の乳幼児では、泣いたり動いたりして十分な協力が得られないことが多く、診断できないことがあります。こうした場合には、超音波検査または造影CT検査で急性虫垂炎の診断を行います。


治療の方法

 外科的に開腹し虫垂切除をします。最近は腹腔鏡下虫垂切除術もかなり行われています。強い腹膜炎がない場合は、手術後24時間経過し排ガスがあれば、食べ物の経口摂取が可能になります。数日間点滴を行い、抗生剤を投与します。

 しかし壊疽性虫垂炎となって腹膜炎を併発し、腹腔内にうみがたまり、腹腔外に誘導するチューブを留置した場合は、長期の点滴、抗生剤の投与が必要です。もちろん経口栄養摂取はできません。入院が1カ月以上になることもあります。


執筆者(敬称略):藤原 利男

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出典:六訂版 家庭医学大全科

発行:株式会社法研

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